0:bg33_a
1:双子のサービスデー
2:馨
3:ハルヒ
4:「失礼しまーす」
5:いつものようにホスト部部室に顔を出す。
6:借金返済完了までの長い道のりを、お客様支持率を上げて完済すれば良いだろう?
7:みたいなことを鏡夜先輩に言われて現在もホスト部で接客に励んでいる。
8:自分としては普通に働いて返していけばいいかなあとは思うんだけど、このホスト部特有の空気に慣れちゃったせいか……。
9:ハルヒ
10:(ここにいるのが楽しい、なんて絶対末期だよね)
11:まあ、そんなわけで今日も今日とて部室に来たんだけど……。
12:ハルヒ
13:「あれ? 光と馨だけ?」
14:いつもだったら必要以上に歯の浮くセリフで接客をしている環先輩や、営業にいそしむ鏡夜先輩。
15:それに甘い匂いが漂ってくるハニー先輩もそれに付き従うようなモリ先輩も見当たらない。
16:hikaru_a
17:hikaru_a
18:hikaru_a
19:光
20:「殿も鏡夜先輩もハニー先輩もモリ先輩もみーんな用事があってこれないってさ」
21:ハルヒ
22:「用事?」
23:hikaru_a
24:kaoru_a
25:kaoru_a
26:kaoru_a
27:馨
28:「殿と鏡夜先輩は家の用事。ハニー先輩はチカの試合を見に行ってるし、モリ先輩はそれの付き添いでいないわけ」
29:ハルヒ
30:「じゃあ今日は自分と光、馨だけってこと?」
31:光
32:「まあそうなるね」
33:光
34:「殿もさー、人手がないんだから臨時休業すれば良いのに、ホスト部を求めてる女性がいるのならば! とか言っちゃってさ」
35:ハルヒ
36:「あれでも部長だからね」
37:馨
38:「鏡夜先輩にも言ってみたんだけど、殿が言うのならば実施しろみたいな感じでさ」
39:hikaru_a
40:kaoru_a
41:光&馨
42:「あーめんどくさいよねえ」
43:ハルヒ
44:「そろそろお客様も来ると思うから、そうゆうセリフは思っていても口に出さないでよね」
45:天上天下唯我独尊みたいな光と馨。その上ものすごく飽きっぽい2人だからやーめた、とか接客を放り出さないと良いんだけど……。
46:hikaru_a
47:kaoru_a
48:光
49:「冗談だよ、じょーだん。ホスト部での仕事は真面目にやるよ」
50:馨
51:「売りのシンメトリーな兄弟愛でちゃんとやり遂げるさ」
52:hikaru_a
53:kaoru_a
54:光&馨
55:「ねー」
56:hikaru_a
57:kaoru_a
58:馨
59:「でもいいの、光?」
60:光
61:「なにが?」
62:馨
63:「ハルヒが来る前はあんまり乗り気じゃなかったじゃん」
64:光
65:「まあね~。ほら、僕らだけでも出来るって証明するのも楽しいかなって思ってさ」
66:馨
67:「だよね、光ならそう言ってくれると思ったよ。僕らの麗しい兄弟愛の前では殿だってタジタジだもんね~」
68:……絶対違う意味でのタジタジだと思うけど。実際自分もこの2人にタジタジになった事例は数多いし。
69:ハルヒ
70:「……じゃあ、いつも通りにお客様をお迎えするってこと?」
71:馨
72:「そうなるね。だからハルヒも頑張ってよ?」
73:select
74:select
75:sure2
76:sure3
77:sure4
78:sure5
79:ハルヒ
80:「ほどほどに頑張るよ」
81:hikaru_a
82:光
83:「ほどほど~?」
84:kaoru_a
85:馨
86:「なんか煮えきらない答えだよね」
87:ハルヒ
88:「ああ、それと。自分は光と馨のシンメトリーな世界には付き合わないからね」
89:hikaru_a
90:kaoru_a
91:光
92:「えー」
93:馨
94:「えー」
95:hikaru_a
96:kaoru_a
97:光&馨
98:「折角だからハルヒも入れてあげようと思ったのにさ」
99:ハルヒ
100:「全力でヘルプにまわらせて頂きます」
101:hikaru_a
102:kaoru_a
103:sure6
104:ハルヒ
105:「借金完済がかかってるんだから、もちろん頑張るよ」
106:hikaru_a
107:光
108:「なんか答えが所帯じみてるよね~」
109:kaoru_a
110:馨
111:「うんうん。もっと違う理由で頑張って欲しいよね」
112:光&馨
113:「僕たちと一緒だから頑張れるーみたいなさ」
114:ハルヒ
115:「ああ、それと。自分は光と馨のシンメトリーな世界には付き合わないからね」
116:hikaru_a
117:kaoru_a
118:光
119:「えー」
120:馨
121:「えー」
122:hikaru_a
123:kaoru_a
124:光&馨
125:「折角だからハルヒも入れてあげようと思ったのにさ」
126:ハルヒ
127:「全力でヘルプにまわらせて頂きます」
128:hikaru_a
129:kaoru_a
130:sure6
131:ハルヒ
132:「うーん、自分も頑張った方がいいのかなあ。ストッパーがいた方がいいと思うけど?」
133:hikaru_a
134:光
135:「ハルヒ~」
136:kaoru_a
137:馨
138:「それどうゆう意味?」
139:ハルヒ
140:「言葉どおりだよ。なので自分はヘルプにまわらせてもらうね」
141:光
142:「なんでだよ、一緒に頑張ればいいじゃん」
143:馨
144:「ねー、ノリが悪いよハルヒ」
145:hikaru_a
146:kaoru_a
147:ハルヒ
148:「思うがままに行動する2人と一緒に行動していたら誰が止めるわけ?」
149:光
150:「そのまま行動してればいいんじゃない」
151:馨
152:「うん。別に悪いことなんてないじゃん」
153:……全力でヘルプにまわろう。
154:hikaru_a
155:kaoru_a
156:sure6
157:ハルヒ
158:「自分はヘルプとして頑張ります」
159:hikaru_a
160:kaoru_a
161:光
162:「えー」
163:馨
164:「えー」
165:ハルヒ
166:「文句を言われようとヘルプで2人をフォローするんだからね」
167:光
168:「なーんだ、つまんないのー」
169:馨
170:「ハルヒも巻き込んで面白い寸劇でもしようかと思ったのにさ」
171:hikaru_a
172:kaoru_a
173:光&馨
174:「まあいっか。どさくさに紛れて巻き込んでもいいしー」
175:ひたすら性質が悪いな、この双子は……。
176:kaoru_a
177:hikaru_a
178:sure6
179:hikaru_a
180:hikaru_a
181:hikaru_a
182:光
183:「どのカップにお茶を注ぐ?」
184:お客様A
185:「マイセンのティーカップがよろしいわ」
186:hikaru_a
187:kaoru_a
188:kaoru_a
189:kaoru_a
190:馨
191:「紅茶の味はどれにする?」
192:お客様A
193:「そうね……お紅茶はウェッジウッドでお願いしますわ」
194:自分はヘルプとして2人から少し離れた柱のとこから様子を窺う。
195:今のところ問題はない……かな。
196:馨
197:「……ヴィクトリアンものとか収集するとはまっちゃうよね」
198:お客様A
199:「ええ、私も休日はイギリスのアンティークマーケットを練り歩いたりしますの」
200:kaoru_a
201:馨
202:「へー……っつ」
203:hikaru_a
204:光
205:「馨!!」
206:kaoru_a
207:馨
208:「光……僕は大丈夫だから」
209:hikaru_a
210:光
211:「大丈夫なもんか! ほら、小指が赤く腫れてる……」
212:kaoru_a
213:馨
214:「光! 恥ずかしいよ」
215:hikaru_a
216:光
217:「恥ずかしいなら僕が抱き込んで顔を隠してあげるから……」
218:馨
219:「光……」
220:光
221:「さあ、キッチンで指を冷やそう。あまり僕に心配をかけさせるなよ」
222:馨
223:「ごめん、光」
224:kaoru_a
225:hikaru_a
226:お客様A
227:「キャア! 麗しき兄弟愛よ!!」
228:お客様B
229:「眼福ですわ!」
230:ハルヒ
231:「あの、代えの紅茶は自分が注ぎますので暫くお待ち下さい」
232:……と、ここまではまだ良かったんだ。そう、ここまではいつも通りの行き過ぎた兄弟愛?で。
233:その歯止めが利かなくなると……かなりの惨状になるんだって身をもって知ることになりました。
234:hikaru_a
235:hikaru_a
236:hikaru_a
237:光
238:「馨! それは僕が持って行くって言っただろ!」
239:hikaru_a
240:kaoru_a
241:kaoru_a
242:kaoru_a
243:馨
244:「でも、光にばっかり任せてるのも……」
245:hikaru_a
246:光
247:「ケガしてるだろう? お前はゆっくり休んでいれば良いんだよ」
248:馨
249:「やだよ、僕だって光の役にたちたい!」
250:光
251:「馨……気持ちは嬉しいけど、お前は僕だけを見てればいいんだ。他のお客様に気を取られてまたケガをするお前を見ていたくない……」
252:kaoru_a
253:馨
254:「光!!」
255:kaoru_a
256:hikaru_a
257:yama_l
258:yama_r
259:光
260:「あ……」
261:馨
262:「あ……」
263:2人とも自分たちが食器を持っていることを忘れていたのか、2人で手を取り合った瞬間に支えを失った食器が無残にも床に落ちる。
264:お客様のいない所で兄弟愛を熱演しても仕方ないんですよ、とは言い辛い雰囲気だ。
265:ハルヒ
266:「片付けは自分がやっておくから、2人はあの方たちの接客をお願いします」
267:kaoru_a
268:hikaru_a
269:光&馨
270:「ごめん、ハルヒ」
271:ハルヒ
272:「ううん、気にしないでよ」
273:kaoru_a
274:hikaru_a
275:sure7
276:switch
277:その後も張り切り過ぎた2人の失敗は続き……。
278:hikaru_a
279:hikaru_a
280:hikaru_a
281:光
282:「注文ってスコーンだけだよね?」
283:お客様C
284:「はい。あの、よろしければダージリンのおかわりを頂けますかしら?」
285:hikaru_a
286:kaoru_a
287:kaoru_a
288:kaoru_a
289:馨
290:「おかわりね、りょーかい」
291:hikaru_a
292:光
293:「馨! さっき紅茶で火傷したばっかりだろ!おかわりは僕が持っていくからお前はスコーンを持っていけよ」
294:kaoru_a
295:馨
296:「僕だって子供じゃないんだから何度も失敗しないって」
297:hikaru_a
298:光
299:「失敗とかそうゆうことじゃないんだよ! また馨が火傷をしたらと思うと……」
300:馨
301:「光は心配し過ぎだよ。何度もヘマをやらかすほど馬鹿じゃないさ」
302:hikaru_a
303:光
304:「なに言ってるんだよ、この前の課題の時だって1人で出来るとか言って結局僕に泣きついてきたじゃないか!」
305:kaoru_a
306:馨
307:「そ、それと今とは関係ないだろ!」
308:光
309:「いーや、関係大ありだね。馨は僕がいないとなーんにも出来ないんだからさ」
310:kaoru_a
311:ikari
312:馨
313:「光だって僕がいないと1人じゃ寝れないくせに!!」
314:あ、これはなんだかやばそうな雰囲気かも。
315:暇な双子ほど悪魔なものはないけれど、張り切り過ぎた双子ほどやっかいなものはない。
316:ハルヒ
317:「光、馨。今はお客様の接客が……」
318:hikaru_a
319:光
320:「馨の方こそ1人で寝れないから僕の布団に潜り込んでくるんだろ!」
321:kaoru_a
322:馨
323:「光が寂しそうに縮こまってるからしかたなく一緒に寝てあげてるんじゃないか!」
324:光
325:「僕はぜんっぜん寂しくないから馨が寂しいんだろ! この弱虫!」
326:馨
327:「よ、よわ……なんだよ、光みたいに僕は性格が悪くはないからね、弱虫の方がまだマシだよ」
328:光
329:「お前は底意地が悪くて弱虫なんだろ? 僕のがマシさ」
330:ハルヒ
331:「あの、2人ともそこまでに……」
332:何処がこの双子の琴線に触れたのかわからないけれど、とにかくこのままだと災厄を一手に引き受けることになってしまう。
333:kaoru_a
334:hikaru_a
335:ev4200
336:馨
337:「……光の……光のバカー! 光なんて大嫌いだー!!!」
338:hikaru_a
339:お客様A
340:「!!?」
341:お客様B
342:「!?」
343:お客様C
344:「!!?」
345:hikaru_a
346:ハルヒ
347:「あ、馨!!」
348:bg33_a
349:突如ケンカが始まり、ケンカの果てに馨が耐え切れなくなって飛び出して行ってしまったわけなんだけど……。
350:ハルヒ
351:(馨……泣いてた?)
352:顔を両手で押さえていたからはっきりと見えたわけじゃないけど、すれ違い様に水滴が床に落ちた……ような気がする。
353:お客様A
354:「馨くん……大丈夫かしら?」
355:お客様B
356:「ええ。なんだか追い詰められたような顔をしておりましたし……」
357:お客様C
358:「心配ですわね……」
359:いきなりのことに驚いていたお客様も、落ち着いてくると双子の片割れである馨を心配するように扉を見つめる。
360:hikaru_a
361:hikaru_a
362:hikaru_a
363:光
364:「……あのさ、ハルヒに頼みがあるんだけど」
365:ハルヒ
366:「わかってるよ。馨を迎えに行ってくれってことでしょ?」
367:光
368:「うん。僕も言い過ぎたなって思ってるし、馨のこと責める気なんてちっともなかった」
369:光
370:「いつもみたいに禁断の兄弟愛だけじゃ弱いと思ったからさ、ノリでああなったわけなんだけど……」
371:ハルヒ
372:「まあ、そんなことだろうと思ってたよ。いいよ、自分が迎えに行ってくる」
373:光
374:「悪いな。今は僕よりハルヒに迎えにきて欲しいってあいつも思ってると思うし……」
375:ハルヒ
376:「そうかな? あ、どこに行ったかわからないからちょっと遅くなると思うけど、後のことよろしくね」
377:hikaru_a
378:光
379:「ああ。馨のこと頼んだぞ!」
380:hikaru_a
381: 
382:ハルヒ
383:(当てずっぽうになるけど、どっち側から探せばいいかなあ……)
384:校舎の東側を探す
385:校舎の西側を探す
386:select
387:switch
388:sure8
389:switch
390:sure9
391:bg12_a
392:ハルヒ
393:「東側から見て行こうかな」
394:馨が飛び出して行ってから10分も経ってないし、こっち側の校舎にいるんだったら簡単に見つかるはずなんだけど……。
395:ハルヒ
396:「無駄に広くて機能的とは言い難い構造だからなあ……」
397:学校見学でも思ったことだけど、財あるものは暇を持て余し、日常の刺激としてこんな迷路のような学校を作ったのかなあ。
398:やっぱりお金持ちの感性は一般人の自分にはわからないな。
399:生徒C
400:「……」
401:ハルヒ
402:「あ、すみません」
403:ちょうど前方からやってきた生徒に声をかける。
404:生徒C
405:「はい。私に何か用事ですか?」
406:ハルヒ
407:「あの、1年A組の常陸院馨を見かけませんでしたか?」
408:あの強烈な双子は1学年を問わず2年・3年の間でも知られている。
409:特徴を言わなくても、良い意味でも悪い意味でも有名な双子だから見かければ印象に残るんだよね。
410:生徒C
411:「馨くん? いいえ、こちらではお見かけしておりませんよ」
412:ハルヒ
413:「そうですか。ありがとうございます」
414:となると……西側校舎か。
415:sure9
416:bg23_b
417:夕焼け色に染まる校舎を背景に、馨が背を丸めて体育座りをしている。
418:なんだか環先輩を連想させる姿だなと思ったけど、本人の前で言ったら違う! と否定されると思うので言わない。
419:ハルヒ
420:「……馨」
421:kaoru_a
422:kaoru_a
423:kaoru_a
424:馨
425:「!!? ……ハルヒ」
426:kaoru_a
427:慌てて立ち上がる馨に笑みが浮かんでしまう。そんなに見られたくない姿だったのかな?
428:kaoru_a
429:馨
430:「……ハルヒが来てくれるなんて思わなかった」
431:ハルヒ
432:「そう?」
433:kaoru_a
434:馨
435:「うん。……あのさ」
436:ハルヒ
437:「なに?」
438:kaoru_a
439:馨
440:「やっぱなんでもない」
441:夕日の眩しさで気付かなかったけれど、馨の目元はうっすらと赤くなっていて。
442:ハルヒ
443:(仲の良い光とケンカして、ショックだったんだろうな)
444:kaoru_a
445:馨
446:「……さあってと、部室に戻るか」
447:ハルヒ
448:「馨。つらかったら無理して出なくても良いんだよ? 接客なら自分と光でなんとか出来るからさ」
449:kaoru_a
450:馨
451:「へ? なに言ってんの?」
452:ハルヒ
453:「だから、馨が泣いてるみたいだからさ。光とケンカして落ち込んでるんでしょ?」
454:kaoru_a
455:馨
456:「あ、なーる。ハルヒはこれを涙と勘違いしたわけね」
457:sure10
458:馨
459:「ふう……それ勘違いだよ、ハルヒ」
460:ハルヒ
461:「え? まさか……」
462:またいつぞやのように目薬で涙を演出してたと
463:か……まさか、まさか……ね。
464:kaoru_a
465:馨
466:「ご名答だよ」
467:ハルヒ
468:「!!? 人の顔で心を読まないでよ」
469:kaoru_a
470:馨
471:「だーってわっかりやすい顔してるハルヒが悪い。あ、ちなみにさっきのケンカも台本のうちの1つね」
472:ハルヒ
473:「……はあ、なんかそんな気もしてたけど」
474:ハルヒ
475:「じゃあ、なに? その真っ赤に腫れた目元は目薬の影響ってこと?」
476:馨
477:「まあね。ちょっと涙をサービスしすぎたみたいでさ」
478:馨
479:「あんまり痛くて部室を飛び出したんだけど、ハルヒが来たんだしこれはこれで役得ってことじゃない」
480:ハルヒ
481:「ああ、そう」
482:目薬のさしすぎって……心配した自分が馬鹿みたいだ。
483:kaoru_a
484:馨
485:「ハルヒが来たってことは、今部室にいるのって光1人だよね?」
486:ハルヒ
487:「うん」
488:馨
489:「そっか。そろそろ僕は戻るけどハルヒはどうする? 一緒に戻る?」
490:select
491:select
492:sure11
493:sure12
494:sure13
495:sure14
496:ハルヒ
497:「……そうだね。一緒に戻るよ」
498:kaoru_a
499:馨
500:「なに、その間」
501:ハルヒ
502:「すんなり頷くのもシャクじゃない。一緒に戻るけど、騙されたこっちとしては少しくらい抵抗したい気持ちがあるんだよ」
503:kaoru_a
504:馨
505:「ふーん、めんどくさい考え。ま、いいけどさ」
506:kaoru_a
507:sure16
508:ハルヒ
509:「もちろん一緒に戻るよ!」
510:kaoru_a
511:yama_r
512:馨
513:「うわっ! なんか随分張り切ってない?」
514:ハルヒ
515:「まあね」
516:kaoru_a
517:ハルヒ
518:(騙されてばっかりって言うのもあれだから、今度は自分が2人を驚かしてやる)
519:ハルヒ
520:(巻き込まれたくないと思ってたのに……心境の変化って不思議だな)
521:kaoru_a
522:sure16
523:ハルヒ
524:「……自分は遠慮しておくよ」
525:kaoru_a
526:馨
527:「ふーん。まあ、いいけどさ」
528:馨がつまらなそうに呟く。
529:kaoru_a
530:だって、一緒に帰ったら確実にまたあの光景に付き合わされるってことで……。
531:ハルヒ
532:(ちょっと……かなり、それは遠慮したいよね)
533:sure15
534:ハルヒ
535:「自分は遠慮しておくよ」
536:kaoru_a
537:yama_r
538:馨
539:「うわっ、即答!?」
540:ハルヒ
541:「一緒に帰ったら光、馨と一緒にあのわけのわからない世界を演じなきゃいけないんでしょ?」
542:kaoru_a
543:馨
544:「わけのわからないって……いくら天然キャラだからってそれはひどくない?」
545:ハルヒ
546:「じゃあ未知の世界?」
547:kaoru_a
548:馨
549:「いや、まあ……確かにハルヒから見れば未知かもしれないけど」
550:sure15
551:馨
552:「……じゃあさ、僕は先に戻ってるけどハルヒもちゃんと戻ってきてよ」
553:ハルヒ
554:「うん、わかった」
555:馨
556:「ほんっと、真っ暗になる前に戻ってきてよね」
557:ハルヒ
558:「そんなに念を押さなくてもちゃんと戻るよ。そんなに自分って信用ない?」
559:kaoru_a
560:馨
561:「信用っていうか、ハルヒの場合……」
562:kaoru_a
563:ハルヒ
564:「……ここは静かでいいなあ」
565:騒がしい人間もいないし、ちょっと肌寒いけど身体を縮こまらせていれば温かいし。
566:ハルヒ
567:「このままここにいようかなあ」
568:部室に戻れば現実に引き戻されるし、このまま、このまま……ここで……。
569:kaoru_a
570:kaoru_a
571:kaoru_a
572:馨
573:「なんてことが」
574:ハルヒ
575:#Scale[1.8]「あるわけないよ!」
576:気持ちよさにうとうとと寝てしまうなんて間抜けなことはしでかさないよ、環先輩じゃあるまいし。
577:馨
578:「冗談だよ、じょーだん。ま、早く戻ってきてよね? でないと面白くないからさー」
579:kaoru_a
580:……戻るのをやめようか、と本気で思った。ほんっと馨のが底意地悪いよ、うん。
581:bg52
582:……あの時、違った返事をしていれば、別の結末もあったのかな?
583:もし、あの時に戻れたら、今度は別の答え方を……
584: 
585:bg23_b
586:kaoru_a
587:kaoru_a
588:kaoru_a
589:sure10
590:bg52
591:bg33_a
592:kaoru_a
593:kaoru_a
594:kaoru_a
595:馨
596:「ただいま~」
597:ハルヒ
598:「ただいま戻りました」
599:お客様A
600:「まあ、お2人がお帰りになられましたわ!」
601:お客様B
602:「お帰りなさいませ」
603:お客様C
604:「私たち、胸が張り裂けんばかりに心配しておりましたのよ」
605:ハルヒ
606:「ご迷惑をおかけしました」
607:部室に戻るなり、目に涙をためたお客様が自分たちを出迎えてくれる。
608:kaoru_a
609:hikaru_a
610:hikaru_a
611:hikaru_a
612:光
613:「……遅かったじゃん」
614:kaoru_a
615:馨
616:「光……」
617:何食わぬ顔でソファに座っている光が、顔だけこちらに向ける。
618:ハルヒ
619:「ちゃんと接客してた?」
620:hikaru_a
621:光
622:「あったりまえじゃん。僕を誰だと思ってるわけ? 天下の常陸院兄弟の兄だよ、兄」
623:ハルヒ
624:「はあ、まあそこはどうでもいいよ」
625:kaoru_a
626:馨
627:「ハルヒ、それどうでもよくないと思うけど」
628:ハルヒ
629:「そう?」
630:hikaru_a
631:光
632:「いいよ、いいよ。ハルヒのざっくり具合なんて今に始まったことじゃないし」
633:光
634:「それより、ハルヒはこの後もヘルプ?」
635:ハルヒ
636:「うーん、自分も2人に混ざろうかなあと」
637:どうせだったら2人の寸劇に付き合ってもいいし。
638:kaoru_a
639:馨
640:「え、ホントに!?」
641:kaoru_a
642:ハルヒ
643:「2人より3人の方が楽しいと思うんだよね」
644:kaoru_a
645:hikaru_a
646:ev4300
647:ハルヒ
648:「だから……自分はここに座らせてもらうね」
649:馨を座らせてから、真ん中に自分が座る。
650:目の前には微笑ましい光景を見るように、にこにこと笑っているお客様たち。
651:お客様A
652:「ハルヒくんと馨くん、光くんは仲がよろしいのね」
653:お客様B
654:「クラスも一緒でしたわよね? 確かお席も近かったような……」
655:ハルヒ
656:「そうだね。今座ってるみたいな感じかな」
657:お客様C
658:「まあ! 本当に仲がよろしいのね」
659:お客様A
660:「少し妬けてしまいますわ」
661:ハルヒ
662:「そうかな?」
663:お客様B
664:「私たちは光くんと馨くんの素晴らしきシンメトリーの世界には恐れ多くて入れませんもの」
665:お客様C
666:「ええ、ハルヒくんだからこそ入れるのかもしれませんわね」
667:うーん、確かにガードは固そうだけど……結構単純だけどね、光と馨って。
668:光
669:「まあ、こいつは特別だからね~」
670:馨
671:「そうそう」
672:光&馨
673:「だってハルヒはうちの養子だもんね、養子」
674:ハルヒ
675:「はあ……でも実の父が1人いるんですけど」
676:光&馨
677:「ならハルヒのパパさんも含めて常陸院がバックアップすれば良いじゃん」
678:そうゆう問題でもないと思うんだけど……。でも、2人があんまり真剣だから否定するのも忍びなくて。
679:だから言ってしまった。
680:ハルヒ
681:「……それも良いかもね」
682:光&馨
683:「!!?」
684:ハルヒ
685:「なーんて、冗談だよ。冗談」
686:ed_new馨